学生のみなさんへ

 学生のみなさんへ

京都三大学教養教育研究・推進機構

はじめに

 京都工芸繊維大学、京都府立大学、京都府立医科大学の京都三大学は平成26年度より、それぞれの教育理念を基本にしながら京都北山地域の特性を生かして協同することによって、飛躍的に充実した教養教育プログラムを実施することにしました。これは、三大学が連携して教育や研究を充実するために十年にわたり進めてきた検討をもとに、京都府と文部科学省の支援を得て実現することになったものです。

 共同化する教養(リベラル・アーツ)教育では、科目群を拡充して選択の幅を広げ、学生のみなさんの多様な関心・学修要求に応えるように工夫しています。学生のみなさんには、総合的に物事を観察し的確に判断できる能力や人としての豊かな感性を培うことを求めます。また、共同化によって専門や志望の異なる学生・教員と交流できることを勉学や学生生活に活かし、下鴨・北山地域における新しい学生のライフスタイルが構築されることを期待しています。

 

Ⅰ.目指すもの

 現在の私たちは、経済のグローバル化による諸問題、経済・社会の不透明・不安定化、少子高齢化、災害の巨大化、エネルギー問題など様々な課題に直面しています。

 このような時代に、社会からは、眼前の利害や身の周りの空気のみで判断・行動するのでなく、主体的に考え行動し、多様な人々と連携・協同する豊かな感受性と高い倫理観を身につけることが求められています。私たちがとりくむ教養教育は、皆さんが専門分野の高度な知識や思考法に加えて、幅広い学術的素養に基づいた論理的な思考力を修得し、文化や立場を異にする様々な人々と対話し議論する力や表現する力を育むことを目指します。

 これらのことから京都三大学の共同化教養教育においては、第一に、時代が求める教養教育の在り方を以下の3点に整理し、各授業科目に反映させます。


A. 人文・社会・自然の諸分野から、各大学の教育課程の編成方針を踏まえ学生自ら科目を選択し学ぶことにより、幅広い知識と総合的な判断力に基づく教養を培う。

B. 世界の人々の多様な生き方を感受し、人としての豊かな感性や倫理観を高める。

C. 社会に生起する種々の問題において、真理や正義を探求する議論に習熟する。また、多様な価値観を持つ人材が集まることにより新たな価値創造に向けた議論に習熟する。

 
  第二として、このような基本的な目的に加えて、京都三大学としての特徴を活かした教育を実現します。

1.共同化科目の各教室では、専門分野が異なる京都三大学の学生が混在して受講することにより、学修歴や志向の違いを越えた多面的な視点による学修・討論を実現します。また、上記課題Cに狙いをおいた少人数の「リベラルアーツ・ゼミナール」を設けます。

2.伝統文化、芸術、街づくり、市民生活、地場産業やさらに自然環境など、京都に歴史的に生きている価値・財産やその現代における展開をとりあげ、京都という地の特色を諸側面から学びます。この地域の生業の理解を通して、これからの地域・街・生活・文化のあるべき姿を検討します。     


Ⅱ.実施の方針

 京都三大学の共同化教養教育を運営していく組織として「京都三大学教養教育研究・推進機構」が設置されています。本機構のもとで、三大学それぞれから共同化に相応しい授業科目が提供され、また機構独自で工夫された科目が提供されます。これらの科目はすべて三大学の正規の授業科目として学生の自主的な選択に供されます。

 提供される授業科目それぞれは上記A、B、Cの3つの性格を有しますが、各授業が主としてどの性格をもつものかを学生のみなさんに示します。なお、平成29年度から上回生対象の科目も増やし、学士課程を通じた教養教育の充実を図っています。

 教養教育のカリキュラム、授業のテーマ、内容や方法は固定的なものではなく、学修状況や授業の成果、学生からの要望等によって、常に改善・開発を図っていくものです。このため機構には「リベラルアーツセンター」と「教育IRセンター」の二つのセンターを設置し、カリキュラム等の改善・開発や学修の質評価等に係る調査・検討に取り組みます。これらの検討は、専ら教員の側のみで行うものではなく、みなさんの積極的な参加・協力が望まれます。学生のみなさんと教職員の協働によって、新しい豊かな学修フィールドの形成を図っていきます。