京都三大学教養教育研究・推進機構(教育IRセンター)主催平成25年度 第6回公開研究会を開催します。
平成25年度 第6回 公開研究会
日時 平成26年3月17日(月) 15:00~17:30
場所 京都工芸繊維大学 1号館 1階 0111講義室
京都府京都市左京区松ヶ崎橋上町1
地下鉄烏丸線「松ヶ崎駅」出口1 徒歩8分
演題 「理工系大学における高度教養教育への視座」
大綱化以降、教養教育が学士課程教育全体の目標となった。そこで、理工系教育の実情に即して、専門教育を通じた教養教育と、専門教育の「欠如態」としての教養教育について、考察を行う。
従来から教養教育の大きな目的は、人間形成と異分野理解であるとされてきた(大学審答申、1998年)。理工系においては、実験・実習・卒業研究の比重が高く、「自分の能力に自信を持ち、学問との一体感を体験する」という人間形成について、専門教育はかなり目的を達成していると言える。
これに対して、現在でも模索が続いているのは、異分野理解である。研究活動の高度化・細分化は、同時に、視野の狭窄化や党派主義をもたらす危険性を持ち、利害関係を超えた理想やヒューマニズムの精神は後退しがちである。この分野においては、サービス・ラーニングや海外研修等の教育方法が浸透しつつあるが、何より求められるのは、教員のコミュニティ意識である。
教養教育は、本来、個人的な利益ではなく、市民性・社会責任・公共善を志向するものであり、現状に対する批判精神と未来に対する想像力を提供するものである。しかしながら、近年、教養教育についての議論自体が、競争的な環境における個人の能力開発に重点を置いた現状追随となっている。ここでは、日本学術会議の回答(2010年)などを参考に、理工系の教養教育のあり方についての議論を深める。
講師 吉永 契一郎(よしなが けいいちろう) 先生
(東京農工大学 大学教育センター 准教授)
【講師略歴】
1987年国際基督教大学教養学部卒業、1998年コロンビア大学Ph,.D.
新潟大学教育開発研究センター助教授を経て、現職。大学教育学会理事。
【専攻】 高等教育研究・大学史・比較教育
【著書・論文】
・吉永契一郎・堀井祐介・中島英博『ヨーロッパにおける大学教育の多様性と統合』広島大学高等教育研究開発センター・高等教育研究叢書、第119号、2013年。
・吉永契一郎「ヨーロッパの物理教育の多様性」『大学の物理教育』第18巻、第1号、27-30頁、2012年。
・吉永契一郎「ジョン・ヘンリ・ニューマンの『大学論』」、『大学論集』、第42集、267-278頁、2011年。
・吉永契一郎「教育モデルとしてのリベラル・アーツ・カレッジ」『大学教育学会誌』、第31巻、第1号、120-127頁、2009年。
・吉永契一郎「アメリカのFD」IDE、第503号、58-63頁、2008年。
参加申込方法
下記の京都三大学教養教育研究・推進機構のメールアドレスに、お名前、ご所属、連絡先(メールアドレス、電話番号)をご記入の上お送りください。
E-Mail:kyouyou@kpu.ac.jp
参加費 無料
後援 財団法人 大学コンソーシアム京都